~催し物を通した人々との出会い~
「 アクティブ・ミュージアム」
このコンセプトを決めたあと、もう一つの冒険をしました。
それは、当時の国鉄が設置した施設でしたので、管内の鉄道管理局にお願いをして、大阪を中心とした近畿圏を走る近郊の通勤電車の全車両約 2,500 両の車内吊り広告を、この「アクティブ・ミュージアム」の宣伝ポスターで1クール5日間を埋め尽くしてもらうというものです。
計画は見事に的中!!
こうしたコンセプトの構築から、企画した催し物と車内吊りの広告・宣伝の効果もあり、催し物開催期間中の入館者数が対前年 1.5 倍を記録し、その効果は約3ヶ月続きました。
私自身も、この催し物の企画及び実施によって、何事かを企画するという事がどのような作業を、どのように考えて行うのかという事を身をもって体験した思いでした。
このブログ「ミュージアム邂逅記」の大きな出会いのひとつがこの「アクティブ・ミュージア ム」キャンペーンです。
*コンピュータとの出会い。
*コンセプトを構築して全体をデザインしてゆくと言う企画の手法。
*そして、コンピュータ・ミュージックと人形劇という来館者参加型の催し物。
そのどれもが、その後の私の人生を大きく変える事になりましたが、その中でも特にコンピュータ・ミュージックと人形劇の催し物が、全てアマチュアの人たちのグループであったという事と、彼らとの人と人との交流が私に新たな視野を広げてくれました。
彼らは、毎日のイベントが終わるとグループ全員が科学館の向いにある喫茶店に集まってその日の反省会をします。
私もお願いをして参加させてもらいました。
毎回、その日の人形の使い方やシンセサイザーの効果、あるいは、参加して下さる来館者の方への対応など、事細かな出来事の反省と、それらを次回へどう活かすかと言った事が話し合われます。時には、私にも意見が求められました。
後日話してもらった事ですが、彼らがショッピングセンターなどでイベントをした時は、主催者側の誰一人として終わった後のミーティングには参加されないし、イベントをしている時には見に来るが、あとは彼らに任せっぱなし・・・。
出演料は払ったのだから、あとはイベントさえ盛り上がれば良い、という場合がほとんどだったとの事で、私の様にミーティングまで参加し、意見を言ってくれるというのは、正直嬉しい驚きだったと言うのです。
私にすれば、自らが企画したイベントのコンセプトがうまく表現されているのか、
彼らがそれをどのように受け取り、どう理解しているのか、
修正する必要があるのかないのか、
と言った事を確認しておきたいという私なりの理由があったのです。
つまり、コンセプターであり、催し物を企画したプロデューサーでありディレクターとして、自らが描いていた企画内容がどんな風に実施されているのか、という点に興味があった訳です。
夏休み中の彼らとの交流によって、「アクティブ・ミュージアム」という「何はともあれ、まずはミュージアムに足を運んでいただこう」という企画意図は、予想以上に浸透し、具体的な成果も上げてくれましたし、同時に、 改めてミュージアム活動に於ける他者との恊働への意義深さを実感する機会ともなりました。
写真説明/
このディーゼル動車は、キハ81系という当時紀勢本線の特急「くろしお」号として使われていた車両です。
先頭部は、ご覧の様にボンネット型をしており、鉄道ファンには大変人気のあった車両。
その後、特急列車用のディーゼル動車は、82系が生まれ、全国の非電化区間の特急列車として活躍しました。
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